1. HOME
  2. ブログ
  3. 歯周病
  4. 虫歯と歯周病

虫歯と歯周病

メンテナンスはなぜ必要か?

口腔内の2大疾患、虫歯と歯周病。これらが細菌による感染症である、ということは、広く知られるようになりました。人間の口の中には,500種類以上もの細菌が生息しているといわれています。これらの細菌は、歯の表面や歯肉の間の溝の中(歯周ポケット内)などに、さまざまなかたちでくっついて、仲間を増やし、いくえにも重なって生態系を作り、細菌の凝集塊となります。
この、細菌同士が寄り集まって、スクラムを組んだ状態になって、どこかにへばりついているものを、バイオフィルムといいます。口の中でも、場所によって、バイオフィルムを構成する細菌は異なります。空気を好む虫歯菌は歯の表面に定着し、また空気を嫌う歯周病菌は歯周ポケットの奥へ奥へと潜り込んで定着し、人間の生体防御系をかいくぐって生き続け、虫歯や歯周病を引き起こします。
このバイオフィルムに対しては抗菌剤もあまり有効では無く、歯科専用の清掃道具を使って、機械的に除去することがバイオフィルムを破壊する唯一の効果的方法です。下記、グラフからもわかるように、SRP(scaling and root planning)、PMTC(professional mecanial tooth cleaning)に勝る口腔内バイオフィルム駆逐法はありません。

スケーリング、ルートプレーニング後、歯周ポケット内の細菌数歯激減する。
歯周ポケット内材料の75%を占めた嫌気性グラム陰性菌群はSRP後、は減少しますが、
12〜16週後にはもとの菌数に戻る傾向が見られます。減少状態から増加に転ずるのはおよそ8週間後です。従って2ヶ月に1回の定期的なSRPやPMTCがバイオフィルム破壊に効果があると言えます。

出典:奥田克爾著 口腔内バイオフィルム161p

歯を失う原因は?

”炎症と力をコントロールすることができる歯科医師になること。”
これが、私の一生涯の目標でもあります。
今、我々歯科医師は、虫歯と歯周病に代表される炎症をコントロールできるようになりました。しかし、これだけでは、歯を必ず守る、ということはできません。
例えば、立派な家が建っているとしますね。酸性雨から守り、シロアリを駆除し(虫歯予防)
基礎工事をさらに強化し、敷地もいつもきれいにしています。(歯周病予防)
でも、毎日何回も、地震が発生していたら(ブラキシズム)どうでしょう、軽自動車が毎日体当たりしていたら(悪習管、態癖)どうでしょう。また、立派な家だけれども、最初から傾いていたとしたら(正しくない噛み合わせ)さらにどうなるでしょうか。
残念ながら、この家は壊れてしまうでしょう。

異常に強い力で歯を噛みしめる行為が引き起こす様々な破壊現象をDCS(Dental Compression Syndrome)といいます。DCSについては、またの機会にお話ししますね。
日常生活での些細な癖(頬杖をついたり,うつぶせで寝たり・・)や、しっくりいっていない噛み合わせ等が引き金となって、本人も気がつかないうちに、自分で自分を破壊し続けていく。ここに、うまくコントロールされていない炎症が加わると、急激に虫歯は進行し、歯周病は悪化するのです。 そうして、1本、また1本と、歯は失われてゆくのです。

 

 

記事一覧

Saori Ichinohe

一戸 小織

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

ナビゲーター 一戸 小織

院長 一戸小織がお届けする日々の徒然。
ちょっぴり気分の上がること、お薦め情報、医療のことなどを綴ります。